地球温暖化を食い止めるためには、全世界のCO2排出量を削減しなければなりません。この世界共通の目標は、国連がパリ協定の中で策定したもので、工業生産にも大きな影響があります。セメント産業のようなエネルギー集約型の部門は工程の脱炭素化に取り組んでいます。とりわけ、化石燃料の代替が急務。目指しているのはグリーンセメントです。製造におけるライフサイクル評価を改善する方法はいくつかあります。

セメント製造が持続可能性を高めなければならない理由

セメント製造が排出するCO2は、世界全体の約8%を占めています。パリ協定の目標を達成するためには、この数字を2030年までに30%以上削減しなければなりません。排出されるCO2の大半は、焼成という化学工程で排出されており、セメント製造の全工程を合わせた排出量の約50%を占めます。このうちロータリーキルンの焼成は約35%。残りの15%は、物流を含む他の工程が占めています。セメント製造で排出量を削減する方法は、工程の最適化と添加剤の使用に限られます。現在、気候保護目標を従来よりも高く設定する国が増えていますが、そうした目標を達成できなければ、罰金が科される可能性があります。その一方で、グリーンセメントを求めるお客様や消費者も増えています。そのため、最近のメーカーは気候に優しい方法で製品を製造し、環境保護に貢献する姿勢を示しています。こうした傾向は、セメントメーカーのビジネスパートナーやお客様による二酸化炭素排出量の削減にもつながります。この業界では現在、汚染物質の排出を削減するための方法がいくつかあります。

 

セメントクリンカの燃焼はエネルギーを大量に消費します。従来の工程では、ロータリーキルン内の温度を1,400°C以上にする必要がありました。しかし数年前から、セメントメーカーは化石燃料の代わりになる燃料を探し求めています。高品質のリサイクルに適さない廃棄物は、代替燃料として利用できます。そうすることで廃棄物が循環型経済の一部となり、利用されずに埋立地に埋められて、分解過程でさらにCO2が放出されることもなくなります。下水スラッジのような有機廃棄物以外に、プラスチックも燃料として利用できます。

廃棄物の組成は一定でないため、代替燃料の取り扱いは簡単ではありません。組成が一定でないため、正しい投入が難しいのです。廃棄物をキルンに搬送する際、材料の重量が小さく体積が大きい場合、ブリッジや閉塞が発生する可能性があります。材料の流れに問題があったり、燃料の質が変わったりすると、バーナーの炎や温度に望ましくない変動が生じることも。さらに運が悪ければ、セメントの品質に悪影響を及ぼす残渣が発生します。セメント業界は、こうした問題に対する解決策をすでに開発しています。例えば専門試験センターでは、燃料として使用する前に廃棄物の品質と流動特性を測定し、評価することができます。また、密度や品質の異なる材料に合わせて製造ラインも最適化されています。

Shredded plastics used as alternative fuels for cement production

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近代的な工場では、もはや微粉炭はセメント製造に使用される主要燃料ではなくなっています。しかし、代替燃料では発熱量が変動するため、それを補うために化石燃料が依然として必要とされています。それに加えて、廃棄物はキルンに火を点けるためには使用できず、目標温度に達してからでないと使用できません。発熱量の変動を補うために、また堆積物で汚れたキルンを自由燃焼させるために依然として必要な微粉炭は、少量ずつ計量し、工程へ臨機応変に供給する必要があります。このようにしてセメント産業は炭塵の削減を達成し、CO2排出量を削減することで環境保護に貢献できるのです。

Pulverized coal still needed for cement production

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セメント製造のCO2排出量は酸素燃焼処理で削減できます。この処理では空気の代わりに純酸素が燃焼に使用されます。これにより、気候に悪影響を与える二酸化炭素のその後の捕捉が容易になり、CO2は大気中に漏れることなく回収・貯蔵されます。さらに、純酸素を使って焼成すると、必要な温度に達するまでの燃料量が減るので、エネルギー収支にも好影響を与えます。しかし、この工程は技術的に複雑です。酸素含有量が低すぎることで不完全燃焼になると、有毒な一酸化炭素が発生します。状況によっては、製品の品質が損なわれることもあります。こうしたリスクを最小限に抑えるためには、酸素燃焼処理における材料の計量は正確かつ信頼性の高いものでなければなりません。

Illustration of how to reduce CO2 emissions

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セメント製造におけるライフサイクル評価を改善するための工程のほとんどは、化石燃料の削減を目的としています。しかし、CO2の大部分は、石灰石をクリンカに変換する際の化学工程によって発生します。そこでセメント業界は、添加剤を加えてクリンカ含有量を減らすことを目標の一つに掲げています。例えば、超微粉砕石灰石や小粉砕コンクリート、フライアッシュ、高炉水砕スラグ、スラグなどが使用されています。セメント系建築材料のコンクリートの主な特性は凝集性、強度、硬度です。高い製品品質が保証されるように、これらの特性がクリンカ含有量の減少によって損なわれることがあってはなりません。高品質のコンクリートを製造するために、セメント製造の混合システムは様々な原料を計量し、正確な比率で混合しなければならないのです。

Close up of flame in rotary kiln during heating mode in cement plant

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結論:これらはすべて、未来の課題

世界の人口は増加しています。世界的に見れば、まだまだ建設は続いています。したがって、建築材料としてのグリーンなセメントやコンクリートの需要が減ることはないでしょう。それと同時に、地球温暖化を抑制するうえで気候保護がますます重要になっています。環境を保護するために、セメント製造はもっと環境に優しくなければなりません。特に欧州では、多くのセメント工場が化石燃料の代替品を探し求め、低排出製造に投資し始めています。しかし世界的に見ると、近代化は遅々として進んでいません。メーカーに対する排出量削減の圧力は今後も強まります。企業が地球に優しい製造や持続可能性の向上に注力すればするほど、代替燃料は不足することになります。特にリサイクル率の高い国では、結果的に利用できる材料の品質が低下します。

これは機械部品メーカーにとっての課題です。セメント製造工場は、多種多様なバルク材を使用できるよう設計されていなければなりません。代替燃料の組成は千差万別です。セメント製造における添加剤の混合には最高の精度が要求されます。建築材料としてのコンクリートの品質が低下してはなりません。最新のシステムでは、これまで以上に厳しい条件下でも正確な計量が保証されなければなりません。すなわち、将来に向けた優れた解決策を見出すための専門知識と経験が不可欠なのです。

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